@たいせつなきみ

マックス・ルケード セルジオ・マルティネス
絵 ホーバード・
豊子訳
Aそして毎日朝から ばんまで同ぬじことをしていた。
シールをくっつけあうんだ。
ウイミックスはみんな きんぴかのお星さまシールと みにくい はいいろの だめじるしシールを べつべつのはこにいれてもっていた。
まち こびとたちは 町じゅうどこででも とおりのあちこちて お星さまとだめじるしをくっつけあって くらしていたん つるりとなめらかな来でできてえのぐもきれいにぬられ同じ ほし かわいいこびとたちは いつもお星さまを もらっていた でも木がでこぼこだったり えのぐがはがれていたら。
だめじるしをくっつけられるんだ。
Bさいのうのある こびとたちも お星さまがもらえた。
頭の上まで おっきなぼうをひょいっと もちあげたり たか 高くつんだ はこを とびこえたりできる こびとがいたんだ。
むずかしいことばを知ってるのや うた うた すてきな歌を歌えるのもいた。
お星さまだらけの ウイミックスとうじょう!
そんなこびとには みんな ほし お星さまをくっつけていった。
お星さま もらうと 気分はさいこう!
また すごいことして お星さまがほしくなってくるんだ。 だけど なんにもできない ぶきっちょな こびともいた。 そんな こびとたちは みにくい だめじるしをくっつけられたんだ。

 

Cパンチネロはそんなこびとのひとりだった。
おな みんなと同じように高くつんだはこを 思いきってとんでみた。 でも いつもしっぱいばかり。 みんな よってきて だめじるしをくっつけていった。 ある時はしっぱいしたばかりか 木にかすりきず。
また だめじるしをくっつけられた。
いっしょうけんめい いいわけしようとしたけど い つまらないこと 言ってしまって また だめじるしをくっつけられた。からだ しばらくすると体じゅう みにくい だめじるしだらけ。
で おうちから出るのがいやになった。
「ぼうしを わすれやしないかな」 「みずたまりに おちたら たいへんだ」 「へまをしたら また だめじるしだ」 そんなことが しんぱいでたまらなくなった。
だってパンチネロは もうすでに たくさんの はいいろの だめじるしをつけていたから めずらしそうに よってきて また おまけをつけていったりするんだ。
D「やつはだめじるしだらけが おにあいだな」 木のこびとたちはみんなそう言ってからかった。
そと で おな 外へ出ると 同じようにだめじるしをいっぱいつけた ウイミックスたちと いっしょにいたんだ。 そのほうがずっと気がらくだったからね。
「あいつはだめなこびとだからな」 パンチネロはみんなからそう言われても おも しかたがないと思うようになっていった。
「どうせぼくは だめなウイミックスだから」や そうつぶやいた。
外へ出ると 同じようにだめじるしをいっぱいつけた ウイミックスたちと いっしょにいたんだ。 そのほうがずっと気がらくだったからね。

 

Eある日 パンチネロは ウイミックスらしくないウイミックスに会った。
お星さまもだめじるしもつけてないんだ。 木のまんまだった。 なまえ 名前を ルシアといった。 みんな ルシアにもシールをくっつけようとしたけどつかなかったんだ。
あるウイミックスは「だめじるしがひとつもないなんてすごいねえ」と かけよって ルシアをほめた。
そして お星さまをくっつけようとしたけど おちてしまった。
「お星さまをひとつも もらってないなんて」 と ばかにして こんどはべつのこびとがやってきて だめじるしをくっつけようとした。 でも それもやっぱりくっつかない。
Fおも ぽくもあんなふうになりたいなあ」とパンチネロ思っ い
「もうだれからも いいとか わるいとか言われたくないよ」 それでシールのつかないあの子に どうすればいいか聞いてみた。
こた 「それなら かんたん」とルシアが答えた。 「毎日エリに会いにいくのよ」 「エリ?」 エリよ。
ちょうこくかのね。
しごとばへ行って いっしょにお話しするの 「自分でたしかめてくれば? 「どうして?」 おかのてっぺんへ行くのよ。すぐにわかるから。」
い そう言ってシールのついていない ウイミックスは スキップしながら行ってしまった。

 

G「でも ぼくなんかに会ってくれるかなあ?」 パンチネロはさけんだ。
ルシアにはもう聞こえなかった。 それでパンチネロは おうちへ帰ったんだ。 まどのそばにすわって あし 木のこびとたちが ちょこちょこ いそぎ足でお星さまや だめじるしを くっつけあっているのをじっと見ていた。 「あんなのへんだよ」 そう ひとりごとをつぶやいた。 そしてエリに会いにいこうと きめたんだ。

 

Hパンチネロは細い道をてくてくのぽって おかのてっぺんの おっきな しごとばの中へ入っていった。
なにもかも おっきくて そりゃあ木でできた旨は まんまるになった。
うえ せの高さほどもあるこしかけがあった。しごとだいの上を見るのに せのびをした。 なが うでくらい長いかなづちがおいてある。
パンチネロはいっしょうけんめい おどろきをこらえた。 「やっぱり よそうっと!」 くるっと むきをかえて帰ろうとしたその時。
名前をよぶ声がした。 「パンチネロ?」それはひくい おっきな声だった。パンチネロは立ち止まった。
「パンチネロじゃないか! 会いにきてくれたんだね。こっちへ来て わたしに顔を見せておくれ」
パンチネロは おそるおそる ふりかえって おっきなおひげのしょくにんを見上げた。
「ぼくの名前を知ってるの?」 ちっちゃなウイミックスは そう聞いた。
「もちろん知ってるさ。わたしがおまえをつくったんだからね」
Iエリは かがみこんでパンチネロをひろいあげ しごとだいの左においた。
「ふ一」 つくりぬし は みにくい はいいろのだめじるしを見て 思いやりぶかげに言った。 「ずいぶんたくさんつけられたね」
「そんなつもりじゃなかったんだよ エリ。 ぼく いっしょうけんめい やったんだ」
「ああ なにもかもわかっているよ。いとしい。 おも ほかのウイミックスが おまえのことを なんと思おうと かまいはしないさ」
「ほんと?」
「ほんとだとも。おまえだって気にすることなんか ありゃしない。 お星さまやだめじるしをつけていったのは いったいだれだい?
みんな おまえと同じような ウイミックスじゃないか。みんながどう思うかなんて たいしたことじゃないんだ パンチネロ。 もんだいはね このわたしが どう思っているかということだよ。そしてわたしは おまえのことをとてもたいせつだと思っている」 ?
パンチネロは わらってしまった。 「ぼくがたいせつ? どうして? だってほく歩くのおそいし とびはねたりできないよ。 えのぐだって はげちゃってる。 こんなぽくのことが どうして たいせつなの?」
エリはパンチネロをあたたかく見つめた。 そしてかれのちっちゃな木でできたかたに そっと手をおいて ゆっくりとこう言ったんだ。
「それはね おまえが わたしのものだからさ。 だから たいせつなんだよ」
パンチネロは今まで だれからもこんなふうに 見られたはなかった。 まして つくりぬしからこんなふうに言われるなんてね。うれしくて ことばも出なかった。
?毎日おまえがここへ来てくれることをねがって まっていたんだよ」 とエリが言った。 「シールをひとつもつけていないこびとに会ってね それで来たの」
パンチネロは言った。 「ああ知っているとも。おまえのことを話してくれたよ」 「どうして あの子には シールがくっつかないんだろう?」 つくりぬしはやさしくこう話した。 「それはね わたしの思うことのほうが もっとだいじだと あの子がきめたからなんだよ。 みんながどう思うかなんてことよりもね。
シールがくっつくようにしていたのは おまえじしんなんだよ」 「どういうこと?」 「どんなシールがもらえるかってことを気にしていると シールのほうもおまえに くっついてくるんだ。 おまえがわたしのあいをしんじたなら シールなんてどうでもよくなるんだよ」 「よくわかんないな」 ?エリは にっこり ほほえんだ。 「今にわかるよ。時間はかかるがね。 こんなにたくさん だめじるをつけられてきたんだからね。
まいにち ともかく これからは毎日 わたしのところへおいで。 わたしが おまえのことをどれくらい だいすきだか わすれないようにね」 エリはパンチネロを しごとだいの上からおろして うえ ゆかの上にそっとおいてやった。
「わすれちゃいけないよ」 外へ出ようとするウイミックスに エリはこう言った。 「この手でつくったから、おまえは、たいせつなんだってことを。 そして命をかけておまえを愛しているからさ。 それから わたしは しっぱいしないってこともね」 こころ なか かおも パンチネロは立ちどまらず 心の中でこう思った。
ありゃ ほんとだぞ。 そしてその時ひとつの だめじるしが じめんにおちた。