「事の厳粛さを心にとどめた父」 創世記37:5-11
「兄たちは彼をねたんだが、父はこのことを心にとどめていた。」創世記37章11節
1 ヨセフには兄たちがいた
・ヨセフがともに羊の群れを飼っていた兄たちは、父の妻ビルハの子ら二人と、同じく父 の妻ジルパの子ら二人であった。(ビルハはヨセフの母ラケルの女奴隷。ジルパは母ラケ
ルの姉レアの女奴隷。)その兄たちよりも年長の、レアの子ら六人と、最後に生まれた、 ラケルの子のヨセフとベニヤミンを合わせて、十二人がヤコブの子らであった。
・ラケルもレアもすでに亡くなり、ビルハやジルパは女奴隷ではなく妻と言われている 。
2 ヨセフが夢を見、それを兄たちに話す ・ヤコブは、最愛の妻ラケルから生まれた年寄り子ヨセフを、兄弟の誰よりも愛し、綾織 りの長服を作ってやっていた。一方、ヨセフは兄たちの悪い噂を父の耳に入れた。そのヨ
セフが夢を見、夢の内容を兄たちに話したところ、彼らはますますヨセフを憎むようにな った。
・その夢は、ヨセフがやがて兄たちの誰よりも偉大な存在になるというものであった。古 代の世界では、夢は、神が人に事を伝える際の手段と受けとめられていた。
3 ヨセフはもう一度夢を見る ・夢はそれで終わりではなかった。ヨセフはもう一度夢を見る。前回とは違う夢だ。父ヤ コブはその夢が、やがて父、母、兄たちがヨセフの前に進み出、地に伏して彼を拝するよ
うになることを示していると言う。「地に伏す」という言葉を口にしながら、ヤコブはか つてカナンへ戻る途上、自身が兄エサウに、地にひれ伏して挨拶したのを思い出していた
だろう。
・後日兄たちはエジプトで、顔を地に付けてヨセフに挨拶している(創世記42章6節 )。
4 父は夢の厳粛さを心にとどめる
・父ヤコブは、ヨセフの見た夢のことで彼を叱っている。ヨセフの尊大さと夢とを重ね合 わせたからであろう。しかし、ヨセフが夢を二回見たということには意味があった。重要
な夢であるということが、夢が二度繰り返されることによって示されていた。それゆえヤ コブは、ヨセフが見た夢を深く心にとどめた。
・ヤコブは、ヨセフを偏愛した点で不完全な父親だと言えよう。けれども彼は、神が、自 身の子ヨセフの見た夢を通して語られたことを、厳粛に受け止めている。
・私たちの場合も、神が私たちに語られることは、時に、「私たちが知らない理解を超え た大いなること」である(エレミヤ33:3)。御父はご自身に背を向けて生きてきた者のた
めに、御子を遣わしてくださったと伝えるメッセージは、その最も良い例である。
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創世記37章5〜11節
37:5 さて、ヨセフは夢を見て、それを兄たちに告げた。すると彼らは、ますます彼を憎むようになった。
37:6 ヨセフは彼らに言った。「私が見たこの夢について聞いてください。
37:7 見ると、私たちは畑で束を作っていました。すると突然、私の束が起き上がり、まっすぐに立ちました。そしてなんと、兄さんたちの束が周りに来て、私の束を伏し拝んだのです。」
37:8 兄たちは彼に言った。「おまえが私たちを治める王になるというのか。私たちを支配するというのか。」彼らは、夢や彼のことばのことで、ますます彼を憎むようになった。
37:9 再びヨセフは別の夢を見て、それを兄たちに話した。彼は、「また夢を見ました。見ると、太陽と月と十一の星が私を伏し拝んでいました」と言った。
37:10 ヨセフが父や兄たちに話すと、父は彼を叱って言った。「いったい何なのだ、おまえの見た夢は。私や、おまえの母さん、兄さんたちが、おまえのところに進み出て、地に伏しておまえを拝むというのか。」
37:11 兄たちは彼をねたんだが、父はこのことを心にとどめていた。
2025年5月4日 宣教者 稲垣緋紗子師


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