それは危険な旅であった(創世記37章12〜24節)
「ヨセフは兄たちの後を追って行き、ドタンで彼らを見つけた。」創世記37章17節
1 父の使いでシェケムへ
ヨセフの兄たちは今、ヘプロンを離れ、シェケムで羊を飼っている。羊は定期的に移動させる必要があるからだ。父ヤコブは彼らの無事を確かめるために、ヨセフを使いに出す。だが兄たちはすでにドタンへ移動しており、七日間ほどの旅となった。途方に暮れていたヨセフの前に、兄たちの移動先を知る人物が現れる背後に、主の導きがあった。
2 兄たちの企み
兄たちはヤコブが近づいてくるのを見ると、「あの、夢見る者」を殺してしまおうと企む。だが、殺すなというルベンの一言で、長服をはいで穴に投げ込むだけにする。必死にあわれみを乞うヨセフをよそに(42:21)、兄たちは「座って食事をした」。ヨセフは突然、思いもよらぬ暴力を受けて身も心も傷つき、いのちの危険に身震いしている。
3 イシュマエル人の登場で命拾い
そこへ、イシュマエル人の隊商が通りかかると、兄たちは弟ヨセフを売り渡してしまう。ヨセフは、穴に入れられたまま命を落とすのだけは免れたが、血を分けた兄たちによって奴隷に売られる。なんたる悲劇か。居合わせなかったルペンは、穴の中にヨセフがいないので、死んだに違いないと思って嘆く。長子として父に合わす顔がないからだ。
4 兄たちによるアリバイ作り 一族の分断 兄たちは父ヤコプを欺くアリバイ作りに取り掛かる。ヨセフの着ていた長服を誰やぎの血にひたし、それを父のもとに届けさせる。それを手にしたヤコブは、我が子が野獣に殺された証拠の品だと受け止める。彼は慰められることを拒み、ヨセフのために嘆
。兄たちが念入りに企んだ一芝居は、父を欺き、深い悲しみに陥れただけでは 。以後ヤコブー族の中に、一族を分断する深い溝をもたらしたことは確かである。
5 主はヨセフを導いておられた一族の回復
ヨセフが連れて行かれたエジプトでは、どんな暮らしが彼を待つのか。この後、彼は主からの訓練を受けることになる。侍従長の家で無実の投獄。ファラオの取り立てによる管理者への昇進。その後襲った大飢饉。さまざまな試練の中、主によって変えられていくヨセフの存在が、ヤコブー族を、家族としての回復に導く。それは、バベル以来分裂していた人類が、キリストにより、全人類として回復されていくのをあらかじめ示す。