「礼拝するために」(マタイ2章1〜12節)
序 季節外れなクリスマス・ストーリーを、ヘロデ王がローマ帝国の傀儡王としてユダヤを支配していた時代背景に注目しながら、「幼子」としてこの世に来られた御子を礼拝したい。
1. 「イエスがヘロデ王の時代に」
紀元前40年イドマヤ人ヘロデはローマの元老院からユダヤの支配権を得、紀元4年まで統治。 ユダヤ人ではない「ユダヤ人の王」は不安定な地位を守るために疑心暗鬼、、政敵や家族まで殺害。
ハスモン朝の血筋をひく妻マリアムネ、その息子二人、その母、その弟を危険視して殺害。 歴史家ヨセフスはヘロデの残虐さを次のように書き表した。
「思い立った悪行は絶対に断念しない、まさに殺人鬼的心情としか言いようがない」
「すべての人に対して、等しく残虐な行為を働き、容易に激昂し、激昂すれば正義の観念などはまったく眼中に置かなかった人物」(『ユダヤ古代誌』、浅野淳博『新約聖書の時代』より)
そして、「ユダヤ人の王」が誕生したとの報に恐れおののき、御子に刃を向けた男。
2. 「東の方から博士たちが」
天文学・占星術・薬学等を究める東方の知識人たちが特異な星を見て、メシヤがユダヤに現れるとの伝聞を背景にして、「ユダヤ人の王=メシヤ」の誕生を礼拝するために訪れる。
ユダヤの王ヘロデは驚愕し動揺する心を隠して、祭司長・律法学者を集め、場所を問いただす。
「行って幼子について詳しく調べ、見つけたら知らせてもらいたい。私も行って拝むから」(8節)
3. 「ユダの地、ベツレヘムよ」
律法学者らはただちに預言書からベツレヘムですと、ヘロデに媚びを売りながら引用した。 「ベツレヘム・エフラテよ。あなたはユダの氏族の中で、あまりにも小さい。
だが、あなたからわたしのために イスラエルを治める者が出る。 その出現は昔から、永遠の昔から定まっている。」(ミカ5章2節) 御子は南の寒村ベツレヘムで誕生し、北のガリラヤで育ったことをマタイは告げる。
4. 「ヘロデのところへ戻らないように」
エルサレムからベツレヘムへは一本道であり、かの星に先導されて博士たちは御子のもとへ。 「それから家に入り、母マリアとともにいる幼子を見、ひれ伏して礼拝した。そして宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。」(11節)
馬小屋で生れて数か月、家に居住する母マリアと幼子イエスに最高の礼儀を尽くしてひれ伏し、 礼拝する異教の博士たちは、ヘロデ王に知らせねばと無防備に思っていただろう。
しかし、ヘロデ王のところに戻らないようにとの夢告を受けて、そのまま帰国の途に就いた。
数百年前から国を失った離散のユダヤ人により、やがてメシヤがユダヤに誕生するという話は、東方にも知られていた。「ユダヤ人の王」の誕生に震え上がる「ユダヤの王」の殺意があった。
父なる神に守られて、異教の博士たちの礼拝を受ける御子イエスを私たちも礼拝したい。
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マタイの福音書2章1〜12節
2:1 イエスがヘロデ王の時代に、ユダヤのベツレヘムでお生まれになったとき、見よ、東の方から博士たちがエルサレムにやって来て、こう言った。
2:2 「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。私たちはその方の星が昇るのを見たので、礼拝するために来ました。」
2:3 これを聞いてヘロデ王は動揺した。エルサレム中の人々も王と同じであった。
2:4 王は民の祭司長たち、律法学者たちをみな集め、キリストはどこで生まれるのかと問いただした。
2:5 彼らは王に言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者によってこう書かれています。
2:6 『ユダの地、ベツレヘムよ、あなたはユダを治める者たちの中で決して一番小さくはない。あなたから治める者が出て、わたしの民イスラエルを牧するからである。』」
2:7 そこでヘロデは博士たちをひそかに呼んで、彼らから、星が現れた時期について詳しく聞いた。
2:8 そして、「行って幼子について詳しく調べ、見つけたら知らせてもらいたい。私も行って拝むから」と言って、彼らをベツレヘムに送り出した。
2:9 博士たちは、王の言ったことを聞いて出て行った。すると見よ。かつて昇るのを見たあの星が、彼らの先に立って進み、ついに幼子のいるところまで来て、その上にとどまった。
2:10 その星を見て、彼らはこの上もなく喜んだ。
2:11 それから家に入り、母マリアとともにいる幼子を見、ひれ伏して礼拝した。そして宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。
2:12 彼らは夢で、ヘロデのところへ戻らないようにと警告されたので、別の道から自分の国に帰って行った。
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