期せずして和解の戸口へ向かう (創世記43章1〜10節
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「彼らはヨセフの前で、年長者は年長の席に、年下の者は年下の席に座らされたので、一同は互いに驚き合った。」創世記43章33節
1 エジプトへベニヤミンを伴って行くことに(1−14節)
飢饉は激しく、食糧は尽きそうであった。父ヤコブに言われるまでもなく、急ぎ再びエジプトへ買い出しに向かわなければならない。しかし、今回はベニヤミンを伴って行くことを求められていた。父ヤコブはそのことを不承不承受け入れる。それというのも、ユダが万一の際には自分が責任を負うと約束したからだ。父は二倍の銀を持っていくように指示する。すなわち、前回受け取ってもらえなかった分と今回の分である(22)。
2 兄弟たちはヨセフの家へ連れていかれる(15−25節)
一行はエジプトへ着くと、食糧保管監督局長(ヨセフ)に挨拶した。その際のヨセフの様子は事務的に見える。兄たちをあえて不安と恐れに陥らせるためだったか。しかも、ヨセフは家を管理する者に命じて、兄弟たちを家に連れて行かせる。このことは兄たちを恐れさせる。前回の代金が袋に戻されていたことで、責めを受けることのないようにしなければならないという思いに襲われる。この国で高官は邸内に獄屋を持つからだ。
3 兄弟たちはヨセフの前で食事の席につく(26−34節)
ヨセフは兄弟たちに食事を供すが、エジプト人にはエジプト人用に、ヘブル人にはヘブル人用に、別の食事が出された。それは食事に関する禁令のゆえである。兄弟たちは年齢順に座らされて驚く。そのようなことはヨセフにしかできないことであった。ベニヤミンへの厚遇にも驚かされたであろう(34)。今や父ヤコブの最愛の者となったベニヤミンへ、羨望や敵意を抱く兄たちであるのかどうか、ヨセフは彼らを試していた。
4 兄たちは期せずして和解の戸口へと向かっていた 8
ヨセフが兄たちにしていることを読んで、何を考えさせられるだろうか。兄たちとヨセフの間には、過去のいきさつが原因で断絶の壁がある。その壁のこちら側にいるヨセフには、すでに兄たちを赦す用意があるようだ。その上で、彼は兄たちに何段階もの試練を課している。その目的は、兄たちが少しずつ自分たちの真の姿に向き合い、葛藤し、心優しい者へ変えられていくことである。それが少しずつ明らかにされていく。最終的試練が出てくるのは44章である。はたして兄たちは過去の行為を悔い改め、謝罪にまで導かれるだろうか。ヨセフにはすでに兄たちを赦す心が与えられていることに注目したい。私たちの場合も、神の赦しが差し出されたのは私たちが悔い改める前である。